2012年7月29日日曜日

空気調和・衛生工学会にて講演を行いました。




(社)空気調和・衛生工学会近畿支部主催で、昨日(7/27)「BIMと建築設備のこれから」ということで、大阪駅に近いキャンパスポート大阪にて講演致しました。55名程の方々が参加されたそうです。
IAI日本の山下さん→弊社→日建設計の永瀬さんといった順番でBIMの今後進むべき方向について、今の状況とその活用手法についてのお話でした。
みなさん、熱心に聞かれていたのが印象的でした。




2012年7月19日木曜日

夏季休暇のお知らせ

盛夏の候、皆様方におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます


弊社におきまして勝手ながら下記の期間を夏季休暇とさせて頂きます。


2012年8月11(土)~2012年8月14日(火)


なお、上記期間中のお問い合わせにつきましては留守番電話またはメールにて承ります。
2012年8月15日(水)より御対応させて頂きます。
御迷惑をお掛け致しますが、何卒御了承の程、宜しく御願い致します。


期間中問い合わせ先
tel. : 03-6206-0615
e-mail : arch5@arch5.jp

2012年7月10日火曜日

空気調和・衛生工学会において講演致します。

空気調和・衛生工学会において弊社 小俣 が講演致します。
ご都合の良い方は、ご参加頂ければと思います。

テーマ:「BIMと建築設備のこれから」
主 催:公益社団法人 空気調和・衛生工学会近畿支部
協 賛:(社)建築設備技術者協会近畿支部
日 時:平成24年7月27日(金) 15時-17時
会 場:キャンパスポート大阪 ルームD+E
     大阪市北区梅田1-2-2-400 大阪駅前第2ビル4階

《講演内容》
1.「BIMと建築設備」の現況と展望
報告者 山下純一(一般社団法人 IAI日本)
2. 建築設計の原点とBIMによる広がりと可能性について
報告者 小俣 光一(株式会社 Arch 5(アーキファイブ)
3. BIM推進のための設計体制と設備設計図・環境シミュレーションへの展開
報告者 永瀬修(株式会社 日建設計)

詳細と申し込みは、下記ホームページに記載されております。
http://kinki-shasej.org/committee/kankyo/2012/000349.html

2012年4月5日木曜日

Arch5のBIMへの取り組みが掲載されました

タイトルの件ですが、『BIMによる設備と意匠の連携レポート』が日本工業出版発行の「建築設備と配管工事」2012.4月号に掲載されました。
内容は、BIMにより質の高い建築を作る為、設備等の専門家とどのようにパートナーシップを行っているかという内容と中心に、Arch5の取り組みを紹介しています。



建築設備と配管工事 2012.4月号



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2012年3月29日木曜日

ドイツ研修レポート:住宅開発

ドイツ研修レポート:住宅開発
(株)Arch
小俣光一


日本では、古い山間の民家が住む人もなく、朽ち果てていくか、解体されていくのをよく耳にする。300年の歴史を持つ京都や古い町並みの町屋・民家も壊され、新しいマンションに建て替えられていく。その設計士は言い訳のように、「周辺の民家の軒高と色・素材に合わせてデザインしました。」と説明している。

文化住宅として建てられた昭和初期のRC造のアパートメントも建て替え計画の基に姿を消している。ところが、ヨーロッパでは都心部に当たり前のごとく、築100年を超すアパートメントが存在している。そこには、年老いた老人が多く生活しているが、一方でそこに愛着を持った若者が住み着き、その多くが長く生活を続け始めている。彼らの生活には、日本の10坪のワンルームマンションに生活する若者達とは違って、各個人の個性を生かしたライフスタイル満載の空間が広がっている。



グロースジードルング・ブリッツ・フーファイゼンジードルング:馬蹄形集合住宅(ベルリン)

ヴァイセンホーフの集合住宅(シュツットガルト)
日本人のほとんどが、ヨーロッパの建築は石造りで頑丈だと思っているが、そのほとんどは煉瓦積みの構造に木造の梁と木造の床貼りで出来ている。内装仕上げもメンテナンスの行い易いものを使いペンキやクロス貼りで個人の好みに合わせている。場合によっては、キッチンやバス・トイレなども自分でホームセンターに行き、好みのものを買って設置・改装している。「古い=使いにくい」ではなく、「古いものを自分流に大切に使って住みやすくする。」ことを行っている。日本人は、いつの間にか与えられた物を言われるままに使い、規律を守って生活する。それは、まるで牢獄に住むようなライフスタイルになってしまっている。

日本でも「自分の家は、自分で作る。」これは当たり前だと思う事が、実は出来ていない。200~300万円の新車は、カタログを見たり、試乗して見たり多くの意見を聞き集め購入を決める。しかし、3,000~5,000万円のマンションや戸建て住宅は、パンフレットとモデルルームを見ただけで立地と金額をベースに購入を決定する。仕上げや下地の研究をしたり、設計者と直接会って設計主旨や設計内容について詳しく聞きたいという人は少ない。更には、決っして「キッチンの位置と形状を変更したい。」とか「内部の間仕切りプランを変更したい。」などと言う要望を出す購入者は多くない。これは、建築基準法やデベロッパー・ゼネコンの都合によるところが多い。


   
ヴァイセンホーフの集合住宅(シュツットガルト)

 ヨーロッパでの建物に対する価値観は、大きく日本と違っているようだ。日本では、戸建て住宅もマンションも35年ローンが終わる頃、資産価値が無くなる。残りは土地費だけである。しかしバブル以降土地費も下がり、大きな損失を個人が受けた。ではヨーロッパでは、どのような考えが基本となっているのだろう。細かいところまではそれぞれの違いがあるので明確には出来ない。しかし、最低でも日本の2倍のローン期間が組まれる事がある。更にはローンの返済が残っていても中古住宅販売システムがしっかりとしている為に建物の価値が下がりにくい。よってローンの返済は、自分が住んだ期間(使った年月の分を償却)のみ負担し、それに応じた分のみ資産価値が下がる。


しかしその頃には自分が必要とする規模や立地・住宅の種類が変わり、次の生活に合った物が購入出来る。だからこそ一般の購入者が、新築の住宅やマンションを購入する際に品質やデザインにこだわるのだ。

当然、市場にも日本のような手抜き工事をした建物が出回る確率は低く、品質の高い物件のみが供給されるようになる。金融機関や損害保険会社そして行政・政府に至るまで、住宅開発に対して厳しい目を持った上、開発者とエンドユーザーに支援する。


      

       


   


                      


  最近、友人が15年ほど前に購入したマンションの、内装リニューアル計画を依頼された。4階建ての鉄筋コンクリート壁式構造の一階部分の住戸である。100㎡近い都心のマンションとしてはかなり大きい住戸である。しかしながら、構造壁が薄い割には、そのほとんどの間仕切り壁=構造壁となっているため、プラン変更がほとんど出来ない。15年もすると、家族構成も変わり生活スタイルも変わる。更にはここに住む家族そのものが世代交代しようとしている。時代の変化に対応出来ないマンションになってしまっている。当然、構造壁に規制された設備や住宅性能へのグレードアップにも対応出来ない部分が多くある。


 壁式構造のリニューアルの対する問題点を購入時には、評価の対象にすることは少ない。日本では専有面積が小数点以下の単位で売値に影響するため壁の厚みを薄くする事で算出面積が増える事にこだわっている。ヨーロッパの建物では、大きな開口と空間を確保するために梁を大きめに取りそれに合わせ壁厚を大きくとる。大きな空間を確保する事は、将来のリニューアル・プランニングの自由度が高い。また高制限も階数制限の方が多いため階高も大きくとる。これも将来に対する自由度の高さに、大きな影響を持つ。


ベルリン・カンプス(ベルリン)

空間としての建築は、躯体の性能や防水・断熱・開口部など基本性能が厳しく問われる。日本においては、住宅メーカー独自基準や建築基準法など一定の基準を満たしていればコマーシャルなどで優れた住宅としてPR~販売する。ヨーロッパでは、住宅建築において良い品質の住まいとは、細かなデーター基準でPRしない。100年・200年・300年の間、耐用してきた建物がどのような仕様・作り方であったかを知り、それによりどのような住宅環境が得られるかを肌身で感じ購入の基準とするようだ。更には、子供達が育つ環境や自分たちのライフスタイルイメージが作れるか決め手として大きい。これらにより、自分の判断基準で購入を決める。

自動車業界においても日本には、チューンナップメーカーやパーツ販売店が少ない。ヨーロッパではパーツの値段も安いが自分の好みに合わせた車に換えてくれるお店やメーカーが沢山あり、これらを利用するオーナーも多い。それにより古い車も、パーツを換えながら長く乗りついでいく。これは、かなりエコな事でもある。また、性能においてもパワー数値を気にする日本人に対して、ヨーロッパではトルク数値を気にする。環境面でもハイブリッド車や電気自動車に日本では急激にシフトしているが、ヨーロッパではクリーンディーゼル車をベースに燃費を気にしながら高性能・高出力な長く乗れる車作りを行っている。


 ヴェストハーフェン再開発地区(フランクフルト)



住宅の話に戻るが、ヨーロッパでは窓の外側にブラインドやシャッターを設置し熱負荷の調整や防犯効果を生み出している。日本ではほとんど開口部の外側にブラインドを設置する事例は少ない。錆や汚れを気にする事が影響していると考えられる。

珍しいところでは、住宅やオフィスの窓に日本の伝統である雨戸と同じ物を木製・アルミ製で設置している。おそらく防犯や熱効率など考えられた上で採用していると思われる。しかしながら日本のように取って付けた雨戸ではなく、デザインの一部として素材や色・納まりを工夫したすばらしい物が多い。



    
ベルリン市内:古い街並みに並ぶある住宅の建設


また、既存の建物に鉄骨で後から付けたバルコニーをよく見かける。日本ではマンションに避難上の理由からバルコニーが設けられている。昭和の時代には、物干し場の用途としてバルコニーは利用されてきた。しかし今では、超高層のマンションを始めとして景観上の問題や落下防止の理由からバルコニーでの物干し利用を規制する事例も少なくない。韓国や中国では高層マンションにおいて竣工直後は開放型のバルコニーであるが、しばらくすると、バルコニーの手前にガラスカーテンウォールや開放部分に防風スクリーンを取り付けさんテラスのように利用している物件を多く見かける。

ヨーロッパでのバルコニー利用は、主に日光浴のためのスペース利用が多い。少し寒い日でも休日の朝から、ビキニ姿でビーチデッキを置き読書を楽しむ人々を多く見かける。そこには必ずと言って良いほど、プランターに小木や花が植えられ飾られている。クリスマスには、バルコニーを飾り付けスペースとして利用し、近所の人々とのコミュニケーションツールとして活用する。季節感を通して地域への関わりを作るのもバルコニーやテラスそして縁側スペースの役割でもある。日本で作られた伝統的機能が、日本で忘れられ遠いヨーロッパで見直され活用されているのだ。日本で建築に関わってきた人達は、何をやっているのだろうか。考え直す時期に来ているような気が強くする。

改めて、住宅に関しては住まう事・ライフスタイル・価値観・住宅政策について真剣に考えなければいけない事を感じる。



ケルン市内に見た後付けのバルコニー




まちづくり・都市計画・再開発

まちづくり・都市計画・再開発

(株)Arch5
小俣光一



 ドイツにおける再開発は、河川港などにおける物流拠点・工場などの跡地利用が多く見られる。多くは,交通ネットワークを生かし、業務(オフィス)・住宅・商業施設・文化施設などの複合施設として新たなる機能を生み出している。

ヴァッサーシュタット シュパンダウアー・ゼー:ベルリン西北部大規模再開発地域

                             ヴェストハーフェン再開発地区:フランクフルト

 再開発が行われる工場跡地は、元来交通の重要拠点にあった。ドイツでは、移動手段としては自動車や鉄道が発達していたが、物流において海外との交流や主要都市との大型搬送には川が重要な役割を果たし物流の拠点として整備されてきた。

 現在においては、その機能は大型トラックや航空機:エアーポートに役割を渡す事となった。しかしながら川沿いの港は景色がよい事や都心からのアクセスがよい事が別な意味で見直されてきている。




 歴史的背景においても、各再開発地域が培ってきた重みや厚みが次の建築計画にも大きな要素となる事が多い。デザイン的にも、港のガントリークレーンのイメージを建物に取り入れた物や奇抜なデザインが多い。更には、河岸線を越えて水辺に張り出した建物は、計画そのものが地区計画によって認められた物であるが、地域性や個性を生み出す事の大きな役割を果たしている。これも各地域を愛する人々の帰属感が可能にしたまちづくりであることを感じられる。

 まちづくりの観点から海外の再開発は、単独での住宅施設計画にはなっていない。大きなエリアでの位置づけをはっきりさせた上で、コンパクトシティーを適切位置している。開発に合わせた規模の商業施設・飲食店・業務施設・サービス機能などが適切に配置された計画となっている。

 ドイツ:ハンブルグ:ハーフェンシティー・ハンブルグは、現在においてヨーロッパで最大規模の再開発プロジェクトである。世界からの物資の流通拠点として巨大な港湾倉庫などそれらに伴う多くの施設が存在していた。しかしながら、流通その物のシステムが変わった事や施設自体が老朽化した事により、エリア全体での再開発が求められた。
 






このハーフェンシティは、ハンブルク市の南側を流れる。エルベ川の河川港を中心にして広がる再開発地区の総称で、総開発面積が100haに及ぶ欧州の中でも最大規模の再開発である。地理的にも、ハンブルク中央駅から約1㎞、旧市街に位置する市役所からも800mの距離にあり、都市隣接型の大型開発といえる。この開発によって、旧市街の面積が約40%増えることになる。






ドイツ:ハンブルグ:ハーフェンシティー・ハンブルグ


テキスト ボックス: ドイツ:ハンブルグ:ハーフェンシティー・ハンブルグ ハンザ同盟で有名なハンブルクの歴史は古く、現在はドイツ第二の都市にまで発展してきた。この都市は、オランダのロッテルダムと並ぶ欧州を代表する貨物港へと成長を遂げたが、それは再開発地区の入口に残された100年以上の歴史を持つ赤煉瓦倉庫群に表れている。その向こうに広がる再開発地区には、事務所や住居、商業のほか、娯楽や芸術・文化にかかわるすべての施設が整備されることになっており、将来的に予想される就業人口は約40,000人、また建設予定の住戸数は約5,500戸、新たな居住人口は最大で12,000人を想定している。

この再開発は、まだ序章に過ぎないが、ハンブルクの歴史の証としての倉庫群を大切に残しながら、その先に斬新な意匠を持つ建築群を配置することで、新しい港町ハンブルクと、その魅力的な将来像を深く印象づけることに成功している。

ここで日本の再開発と大きな違いが見られる。全てをスクラップ&ビルドするのではなく、エリアの持ったイメージや特性を生かしながら古い施設の一部を再利用している。また、エリアを一つの用途や一体の建物で計画するのではなくコンパクトシティーの機能を盛り込んだ複合型の施設計画に徹している。





ケルン:ライナウハーフェン河川港再開発


 もう一つの特徴ある再開発としてケルンのライナウハーフェン河川港再開発が上げられる。ケルンの中心部を南北に縦断するライン川左岸にある河川港を中心とした大規模な再開発地区で、南北の長さが約2㎞に対し、東西の幅が200mという細長い敷地が特徴である。ここでは古い建物の改修と新規物件の建設が同時に行われており、最終的な建築総床面積は約235,000㎡で、その内訳は事務所が約45%、文化施設が25%、住戸が30%(約700戸)である。この地区は、市内中心部や大聖堂のある旧市街からも比較的近く、徒歩圏内にあるため、ライン川を行き交う観光船や貨物船を見ながら散策できる絶好の場所となっている。
ケルン:ライナウハーフェン河川港再開発


 1898年に開港したこの地区には、長年にわたり穀物の貯蔵庫として利用されていた建物が建ち並んでいた。最も大きな倉庫は、保存建築の指定を受けたものの、しばらくの間、廃墟のような状態のまま放置されていたが、この建物の開発を担う会社と、ケルン市との間で協議が行われた結果、一階部分を店舗や事務所として利用し、上層部はすべて分譲住宅に改修することになった。また隣接する大型のサイロは構造的な問題から解体される予定であったが、設計事務所と構造事務所の提案によって、各階の床を新しく設けることにより、分譲住宅として蘇えった。

 この再開発地区内には、いくつもの倉庫が建てられたが、歴史的価値がないと判断された建物については解体さている。その跡地には、最上階部分がライン川に向かって片持ち状に張り出したクレーンハウスという事務所ビルや、マイクロソフト社が入居予定のM字型をした建物のほか、奇抜なファサードを持つ集合住宅が建てられており、土地利用の密度を上げた開発が行われている。また、この再開発に先立ち、その地下には細長い敷地に沿って南北1.5㎞の長さのある駐車場も併せて整備されている。




    
  
 ケルン:ライナウハーフェン河川港再開発
 ■ 観光都市開発

日本においても地域再開発に観光都市としての位置づ採用が開発の切り札にされる。しかし、その地域独自の生活がない観光地には面白みがない。歴史的町並みが面白いのではなく、その土地独特の食べ物やライフスタイルが、他の地域から来た人達にとって楽しい。歴史的町並みが評価されるのは副産物として考えるべきである。古い街並みや古い寺院は、古いことその物が価値ではない。その形や素材・質感に心和むものがあるのである。自分に無い物・体験した事がない物がそこに有るので、その地域に憧れる。決して古さや知名度だけで何度も同じ観光地を訪れるのではない。
賑わいのある観光地に楽しみがあるのは、その観光地や地域その物が生きているからある。海外の人たちが高い評価を与える日本の町並や工芸品の価値に、日本人には自覚できていないこれらの価値感を不思議であると思われる。日本の町並や工芸品の本質や本物の存在価値を見抜く力を日本人は身につける必要がある。


11月~12月にかけてヨーロッパ各地で行われるクリスマスマーッケット
夕方から毎日寒い外でイベントを楽しむ



ヨーロッパでは、歴史的評価の高い街に住むにあたって、その町に愛着心を持ち自分自身のライフスタイルとその地域に根ざした活動・仕事を行う。だから、歴史的町並みだけを保存するのではなく、歴史的町並みに住む自分を主張し自分の仕事に対してもプライドと結果を町に残す。

アムステルダムの町並みとジャワ-KNSM島建築群






アムステルダムの古くからの街並みとチューリップ祭り