2011年1月26日水曜日

ドイツ・ウィーン研修レポート その一(後半)


 ドイツのお酒




ドイツではなんと言っても、ビールである。昼と夜は、必ずビールかワインになってしまう。特にアルコール依存症ではないが、水より安いので食事の際の飲み物はビールが最適となる。これも地域によって全く種類が異なる。
種類は、
・ヘレス
・ピルスナー
・ドゥンケル
・シュヴァルツ
・ヴァイス
など様々である。地方同士の争いもあり、他の地域のビールを強く批判して笑い話とする事が多い。他所から来た我々は、「ここのビールはうまいだろう」話しかけられて「そうだね」としか言えない。


個人的には、ケルシュが好きだ。飲みやすさの中にもこくが感じられ、色も綺麗だ。なんと言っても200mlのグラスに書かれたラインぴったりに注がれたビールを「椀子蕎麦」のようにギブアップするまで目の前にすぐ置かれ、一気飲みするスタイルは、限られたケルンだけのスタイルである。
ドイツと言えば、白ワインである。しかしながら残念なのは、日本においてドイツのワインは甘口が多いと思われている事だ。大きな誤解である。決してドイツ人全員が、甘口が好きと言う事ではない。基本的には辛口が好まれ消費されている。ライン川・モーゼル川沿いや周辺には、きつい斜面地に葡萄の木が植えられている。小高い丘にある有名なお城を取り巻く斜面地にも、美味しく希少価値の高いワインが数多くある。

珍しいところでは、南ドイツのフランス国境に近いバーデン地方には、シュペートブルグンダ-と言うフランスから持ち込まれたピノ・ノワールをベースに長年こだわって作られてきた高品質の赤ワインがある。特にマルタ-ディンゲンという村の奥にあるベルハントフーバー醸造所は、高品質なワインを世に送り出し高い評価を得ている。自然環境のすばらしい温泉地帯のバーデンバーデンと環境先進都市フライブルグの間にあるこの地方は、独特の土壌とワインづくりに適した厳しい気候環境に恵まれている。ここで作られるワインは凝縮度の高い、こくの広がる薫り高い物である。この醸造所へは今回で2度目の訪問となったが、更に物作りへのこだわりと努力の結果を味あわせてくれる体験が出来る。このワインとの出会いは、フーバーさんに惚れ込んだ大阪の天神橋筋商店街ワインしらたきの佐藤友彦社長である。この人も面白い拘り屋である。(感謝です) 



 当然、蒸留酒もあるが最後に紹介したいのは、フランクフルトである。ここには、さほど美味しいとは思えないが食事と共に飲み始めると、止まらなくなる不思議な酒がある。
 そのリンゴ酒はドイツ語でアプフェルヴァインというが、フランクフルトでは訛ってエッベルヴォイとかエッベルヴァイなどと呼ばれているようだ。住宅街の一角にある商店に店が顔を出す。しかしながら店は、たいがい建物を抜け中庭に面した奥にレストランとして存在する。雰囲気に飲まれてしまいそうである。300mlのグラスで飲むが大きなブルーの絵柄が描かれた取手のつた壺で運ばれてくる。



 食べ物については次回紹介いたします。これも日本で知られたドイツの常識とは大きく違っている事に驚きます。


にほんブログ村 美術ブログ 建築・建築物へ
ブログランキング・にほんブログ村へ

ドイツ・ウィーン研修レポート その一(前半)

今回は代表のドイツ・ウィーン研修レポート(その一)です。
------------------------------------------------------------------------
ドイツ・ウィーン研修 レポート その一
2010124日~1214日     

()Arch 5 
小俣 光一

2011125


 ドイツには延べで6回ほど旅をした。ベルリンの壁の崩壊後ではあるが、直後に行った時からすると昨年の12月に行くまでの間ドイツ国内における開発の進行状況を肌で感じてきたような気がする。
 東西のドイツの統合を迎えて直後は、戦争の痛手が各所に残りそれを日本人である我々にも他人事ではない事のように思えた。そのときの日本ではすでに平和ぼけと、資本主義の強引なお金を生み出すための開発が、ものすごいスピードで行われていた。何処か、今の中国の発展と共通点を感じざるを得ない。
 さて前置きは別として、今回のドイツ視察には幾つかの目的があった。きっかけは、エネクスレインの小室大輔氏から「某建築関連出版会社のツアー企画で予約していた見学先があったが、ツアーそのものが中止になったがもったいないので2人でドイツに行かないか。」との誘いからであった。10月に我が社の東尾君をBIMの勉強のためにハンガリーとオーストリアに研修に行かしたばかりであったので、また私が海外に2週間も行くのは決断が必要だった。情報ではヨーロッパ全体が、厳しい寒波で交通事情が不安定である事も不安要素として重なった。しかしながら貴重な機会として公共性の高い施設の内部視察とヒアリングが行える事と2度目のクリスマスマーケットシーズン体験が出来る事は大きな後押し要因であった。
 当然、本業である建築・開発・まちづくりでは、現在の日本においてドイツから学ぶべき事が多くある。所得の違いがないのに生活の豊かさや充実感が何でこんなに差があるのか、旅するごとに強く感じる。日本の為に、ドイツの良さを紹介出来ればと考え、何回かに分けてヨーロッパ・ドイツレポートをご報告いたします。






◆クリスマスマーケット


 一度目のクリスマスマーケットは、兵庫県の尼崎にある「グンゼ・タウンセンター つかしん」の大規模リニューアル開発研修でドイツ:アウグスブルグの市庁舎前で行われるクリスマスマーケットの視察であった。グンゼ・タウンセンターつかしんのリニューアルオープンのためのイベントとしてアウグスブルグのクリスマスマーケット:「エンジェルプレー」をお借りするために視察の一部に組み込まれた。マイナス10℃以下の気温の中で1時間以上のイベントは過酷そのものであり、健康害した方も数名いたが、そのすばらしさではこれまで味わった事のない演出のすばらしさと臨場感を感じる事が出来た。今回もドイツ国内におけるクリスマスマーケットの非日常性と界隈性が作り出すコミュニケーションと賑わいの活用法を見たくて視察メニューに入れた。


 ドイツ全土でクリスマスマーケットが行われているのは当然だが、地域によって様々な特徴がある。これまで見てきた物は、歴史ある広場を利用して大がかりなマーケットが開かれているのが一般的だが、ベルリンでは中心部に位置する建築アカデミーの跡地公園で行われ、規模はかなり大きかった。ハンブルグでもイベントは、大規模で市役所前の大きな広場で空中をサンタクロースが飛ぶ仕掛けまであった。更にはここに隣接した湖畔のマーケットではモンゴルのパオ(ゲル)をまねたテントで、湖畔の散策路をマーケットとしていた。
 あいかわらずクリスマスマーケットのイベント力は高く、平日の夕方から多くの人々が集まりホットワインを飲みながら多くの隣人と語り合っていた。そこには大きな消費はないが、家族で楽しいクリスマスを迎えるために飾り物や生活用品を買い求め活気のある街並みを作り出している。日本の正月の神社の露店が並ぶ風景に似ているが、生活に定着・密着している度合いは遙かにドイツが高い。いつの間にか日本の伝統・原風景が失われていく不安を感じてしまった。結論が早すぎるかもしれないが、日本では商業性が高すぎイベントの寿命が短くなっているのだろうと思う。改めて、コミュニティーの原点として祭りやイベントの定着・密着を考えないといけないと感じる。